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伊豆望洋軽便鉄道建設誌

はじめに
1.建設前史
2.現地調査
3.資材の調達
4.車両製造
5.路盤工事
6.付帯工事
7.これからの建設予定
おわりに

開業式及び祝賀会


はじめに

2007年(平成19年)11月3日土曜日の文化の日、伊豆望洋軽便鉄道は運輸開始しました。
この日、ご来賓、友人各位にお集まりいただき、開通式並びに開通祝賀会を挙行。
構想から1年、工事着手から10ヶ月を経て、ようよう完成をみたのです。

これまで機会をみつけて各地の鉄道を乗ったり、その歴史を調べることを中心に楽しんでおりましたが、実は鉄道模型にも興味がありました。しかし、周りを見渡すとNゲージでは、HHさんが、HOゲージでは、THさんが共に1,000両にならんとする車両を保有しており、この世界ではとても太刀打ちできません。
そこでまだあまり普及していない、人が実際に乗ることもできる最小の5吋ゲージの建設に着手することとしました。以下は運輸開始に至るまでの建設誌です。





1.建設前史
 わたしの手元にネコ・パブリッシング刊の「今日からはじめる庭園鉄道」という一冊の本がある。
 すべては、そこからはじまった。
 平成17年に書店でたまたま目にした本がこれで、世の中にはなんとも楽しそうな自分が乗って運転のできる模型の世界があることを知る。
 早速購入して、当時私の部下であったまず佐々木君にお貸しした。なぜ彼に貸したかというと、きっと彼はその魅力にとりつかれるに違いないという確信めいた予感があったから。
 予感は的中、彼の優れた実行力のによってその実現に向けて動き始める。そして平成18年10月開催の千葉モノレール祭り2006には子供たちの歓声を載せて5インチゲージの列車が走った。
 それを見た私は自分も作りたい気持ちが大きく膨らむ。



 Nゲージ、HOゲージの鉄道雑誌は数多くあるが、5インチゲージの書籍は、前述の「今日からはじめる庭園鉄道」のほかには欠伸軽便鉄道の森博嗣氏の、中公新書版「ミニチュア庭園鉄道」3分冊ぐらいしか見当たらない。この本も何度も読み返し、たいへん参考にさせていただいた。




本以外ではインターネットの以下のホームページを参考とした。
欠伸軽便鉄道 http://www.ne.jp/asahi/beat/non/loco/loco00.html
大名鉄道ガリバー線 http://homepage3.nifty.com/gardenRR/
そばな高原鉄道 http://www.kogen-rail.com/
八木軽便鉄道 http://homepage3.nifty.com/YKR/index.htm
(メーカー)
株式会社モデルニクス http://www.modelnics.com/
道楽ぼーず http://www1.ocn.ne.jp/~bozu2917/
 
 なお、5インチゲージの建設との直接的関係はないが、鉄道好きの意を強くする本として、次の3冊を挙げる。

(1) 慶應義塾大学教授藤井弥太郎監修「ウラまでわかる知識と情報-鉄道ものしり読本」昭和57年廣済堂刊。

(2) 佐藤信之著「鉄道好きの知的生産術」2002年中央書院刊

(3) 小池滋著「余はいかにして鉄道愛好者となりしか」2007年ウエッジ刊


2.現地調査
 平成18年11月18日、敷設予定地の静岡県伊東市宇佐美に立入り、実測を行った。メンバーは、佐々木氏、小倉氏、林氏と社主の4名。

 その結果、本社社屋を周遊するプランを作成した。


左写真は、本社玄関前プラン。右写真は、本社裏側プラン。
 最小曲線は、R2メートルとし、モデルニクス社の入門セットを基本に考えることとした。


3.資材の調達
 モーター、コントローラ、台車、レールなどの調達をすることとし、それらの資材一式の調達先として、千葉モノレール祭りにおいて導入実績のある株式会社モデルニクスを選定した。住所は〒251-0041 神奈川県藤沢市辻堂神台2-2-43電話は0466-36-3969。 
平成18年12月22日に同社から見積りが届く。
 内容は、以下のとおり。
「御世話になります。お見積もりです。土日配送は可能ですが午前、午後の指定しかできません。発送前にご連絡しますのでご指定下さい。
5インチゲージ入門セットA ¥150000
線路内容R2m 12個 直線1.5m 11個
直線レール3mアルミ @¥1750 20個 ¥35000
レールジョイナー @¥150 40個 ¥6000
送料 ¥4000
税込み合計金額 ¥204750
納期 実働 60 日以内」

以上の内容で購入を決定。平成18年12月23日に注文を出す。
 そして、年が改まり、平成19年2月3日に資材一式が宇佐美建設地に運ばれてきた。その量と重さに驚く。


4.車両製造

(1)クモハの製作
 平成19年2月より本格的に車両製造を始めた。
 駆動部分のシャーシ、ブレーキシステム設計施工は、友人の渡辺氏の陣頭指揮のもとで、車両工場の片隅を借用、また部品製作は遠井製作所に依頼をした。
 渡辺氏は、国鉄OBであり、SL、内燃、電車に至る様々な鉄道車両のメンテナンスを手がけてきた。遠井製作所は車両部品をミクロン単位で製造する卓越した技術を有している。このお二方の協力無くして当社クモハ1号は生まれなかった。













写真は、台車枠とブレーキ伝達システム。





ブレーキハンドルは、遠井
製作所にてムクで削り
だしてもらう。






















すばらしい手触り。社主はドリルで穴空けに奮闘   
















ブレーキシステムは、ブレーキハンドルの動きをカムを介してロッドで車輪に伝えるもので、車輪には自転車用のゴムブレーキで圧着する形とした。
台車枠を塗装してブレーキを付ける。
台車の上には、材木でいすとコントローラ、Vメータ、アンメーターを搭載した操作卓(ここではシートAという)を載せる。

このコントローラはFETチョッパー制御であり、後に、このコントローラとは別に本物のマスコンでの抵抗制御車(シートB)を作製することとなる。














右はご機嫌な渡辺氏


(2)機関車DB10の製作
 クモハは、電池とモーター、ブレーキを搭載しており、単車での実走行が可能であるが、やはり機関車に引っ張られている姿が欲しい。
 このクモハの前に機関車を付けることとした。実際には機関車が引っ張るのではなくクモハで押すこととなる。
いくつかの機関車の写真を見て、軽便鉄道的なものを探した。
日々これらの写真を眺めては、製作イメージをふくらます。
そして、作製イメージを固め、12ミリ厚の合板を切り、製作に着手。













 運転席ドア部分はスライドして開けられるようにした。機関車の愛称は大好きな寝台特急から名前を拝借し、「はやぶさ」とする。このはやぶさのマークは5センチほどのブリキのものがあって、前面に取り付けた。


(3)客車の製作
客車も合板で製作。子供なら二人、大人なら一人乗車が可能である。
設計図は、かなりいい加減であるが、次のとおり。



(4)抵抗制御車の作成
 ある日インターネットで北陸鉄道のウエブを見ていると「鉄道不要部品を販売します」とあり、その中に7000系使用済みマスコンが5,000円で売りに出されていた。平成19年6月30日に早速購入を申し込む。そして7月24日に送られてきた。形はコンパクトであるが、なんとも重い。
 中を見ると三段のマスコンで、もとは東急日比谷線乗り入れの7000系車両のもので、北陸鉄道で再度活躍をした後解体され、部品として売りに出たものである。














当時の運転席写真の左側に映っているマスコンがやって来たわけである。
 なんとかこれを使いたいと考えた。それには抵抗が必要となる。
 そこで、メーカーの「道楽ぼーず」から抵抗器のキットを取り寄せた。このキットは5段階ノッチに対応するよう5つの抵抗器がついていたが、そのうちから一番具合の良い三段階を選ぶ。1ノッチで負荷をかけると抵抗器が真っ赤になり、熱対策が必要とわかった。当初は座席下の箱に取り付けるつもりであったが、外側前面に移動し、アルミ板の上に装着した。













 これ等を取り付けた操作卓をシートBといって、前述のFETチョッパー制御のシートAと交換してクモハの台車の上に載せ換えることができるようにした。
 このシートBによる運転はシートAのFETチョッパー制御の運転より、断然おもしろい。もう運転士気分満点である。
 シートAは、FETチョッパーのコントローラボリュームを最小に絞って、無人運転で走らせ、その走行を見て楽しむ際にでも使うこととしよう。


5.路盤工事

 当初本社社屋周辺を周遊する路線の敷設を考えていた。しかし、海が見えないこと、本社屋の周りだとどうも日常生活に支障を及ぼす恐れもあり、急遽計画を変更して裏の畑用地に敷設することとした。
 この用地は、まだまだ開拓途上にあり、掘れば石がザクザクと出てくるありさま。
 それよりなにより雑草が伸び放題で、この草刈から始まる。


 土地は、南に向け傾斜をしており、高低差を無くすように、線路部分は盛土を行うこととした。
 コツコツとスコップで石を掘り出し、土を移動させる仕事に2月から着手。月に一回の現地作業では遅々として進まない。
 そのような折、佐々木君が耕運機持参で土を均してくれる。その実力を目の当たりにして、結局当鉄道でも必要不可欠の判断となり、奮発してホンダの新品耕運機を購入することとなる。
 作業の能率は高まり、8月の夏休みに路盤とレール敷設までの集中工事をすることに決定。
ここに、強力な助っ人が登場した。一人は元国鉄マンの長瀬氏で、左官をやらせても庭木の剪定をやらせても、なにもかも上手で器用な男。もう一人は、HO模型にのめりこみ、模型のレイアウトではちょっとうるさい萩原氏である。
貴重な夏休み休暇を当社の工事日に合わせて取っていただき、猛暑の中、述べ5日に渡る集中工事を敢行した。

















汗びっしょり、体内の水分が全部入れ替わったと思うくらいの水分を補給しながらの作業は、まず敷設予定線にブロックを敷き詰める。その上にモルタルを塗る。そして両側を石で並べる。当初、両側はレンガで敷き詰める予定であったが、萩原氏のアイデアで無尽蔵に出てくる石を活用することし、工事の低廉化に大きく寄与をした。さらにその上に砂利を引き詰め、レールを敷設する。













レールは、枕木部分が鉄製であることから、枕木らしく見させるよう茶色のペイントを施す。














 既製のR2メートルレール及び直線レールで足りないところは自分でオリジナルレールを作製をする。

 レール本体は、アルミでできており加工はし易い。
 枕木は、当初大名鉄道ガリバー線を参考に、ワイヤープロテクターのプラスチックケースを切ってその上にレールを固定しみたが、あるとき埼玉の技巧社さんを尋ねるとU字型アルミの枕木を売っており、しかもドリル兼用のネジもあって、これを利用すると下穴を開けなくとも枕木にレールが留められるという優れものがあることを知り、それに変更した。実際の施工では枕木に小さな下穴を付けたほうがネジをきれいに確実に装着することができる。
 微妙なカーブ部分は、手で曲げながら現地に置いて少しづつ形を合わせて造った。
 全線が繋がったのが、10月7日(日)。以後「習熟運転」と称して、ひとり運転を楽しむ。ただし、はじめは脱線の連続で、バラストの調整に時間をかけた。


6.付帯工事
(1)信号機の製作
 やはり、鉄道には信号機が欲しい。かつて横浜の鉄道の日の即売会で本物の三色信号機のガラスだけを入手していた。それを使って作製することを思い立つ。やはり、合板をくりぬいて作製。ランプのひさし部分は雨どいを流用した。12Vのランプを点すつもりであったが、省エネを考え、LEDにすることとした。














回路は、インターネットで見つけたタイマーICのNE555のを使用。
秋葉原の若松通商で部品を集める。部品リストは、以下のとおり。
(IC)1× NE555、1×4017B
(ダイオード)6×1N4148
(抵抗)3× 1K、1×10K、2×22K、1×100K
(コンデンサー)1×47uF、1×0.01uF、1×6.8nF
(LED)3× White
これらを穴あき基盤に組む。バッテリーは、9V006P型を使用して信号機背面にスナップスイッチで点灯させることとした。三色が適当な間隔で点灯してなかなか具合良い。

Traffic Lights Schematic














(2)駅標
一駅でも駅標が欲しい。
で、こんな駅標を作った。

テキスト ボックス:












7.これからの建設予定
(1) 分岐器の設置
ただクルクル回るだけではやはりおもしろくない。
分岐を入れてポイント操作を楽しみたい。

(2) 車両増備
 過日、技巧社を尋ねたら、EB10の機関車モデルが展示されていた。ぜひスケールダウンで弊社でも走らせたい。現在設計図を起こしている。今後食堂車、トロッコ等様々な車両を導入する計画であり、ゆくゆくはライブスチームにも挑戦をしたい。

(3) 車庫建設
 車両を保管する小さな車庫を建設したい。もちろん扉には「安全第一」と書く。

(4)「庭園鉄道」の名に恥じない路線環境を整えたい。内側部分はもともと畑用地であり、今後予定している自給自足生活の少しでも足しになるよう野菜の花が満開の庭園を走るとしよう。


おわりに
 諸兄の知恵とお力を頂戴しつつ伊豆望洋軽便鉄道は開通した。風光明媚、温泉、海の幸、山の幸に恵まれた当地へ、四季折々に進捗状況、点検がてら、願わくば酒を1本ぶら下げての視察は歓迎する。
当路線にゆくゆくは食堂車「サシ」を導入する予定。「サシ」に乗り「差し」で一献がこれまた夢。今後とも厚いご支援を賜らんことを。



開通式・祝賀式  

開通式・祝賀式の様子はこちらから
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